長野市西尾張部に古くから引き継がれた広大な家屋敷。
古木が立ち並ぶ庭園に囲まれて土蔵が現存しています。
年々傷みが激しく、造園屋さんに相談したところ「松代町の春原木材なら」と白羽の矢が立ちました。
夏から約4ヶ月かけての再生工事が始まりました。
腐食した下見板を撤去して、新しく張替え、屋根の瓦もスタイルを変えずに最新の防災工法で葺き替えました。
現在は本漆喰(ほんしっくい)による白壁補修作業を行っています。
近年、土蔵は解体される事が多く、改修しても壁に鉄板サイディングを張ったり、漆喰風の吹付塗装で簡易的に済ませることが主流です。
そんな中、T様は幼少の頃から思い出深い、何代も続くこの土蔵の本格的再生を強くご希望されました。
下見板には杉材に渋墨を塗装。松本城や彦根城の修復と同様の材料にこだわりました。
白壁も昔ながらの本漆喰を塗り、風情あるマットな表情に仕上げていきます。
特に土蔵は役物(細部の独特なデザイン)が多く、大変手間のかかる作業に現在取りかかっています。
来月には再生工事が完了する予定です。
この土蔵を次の世代にも継承してほしいという願いを叶えるため、引き続き丁寧に工事を進めて行きたいと考えています。